最悪を想定する
人生というのは、常に「最悪」を想定しておくべきものです。それは悲観ではなく、慎重で誠実な生き方の土台になります。
人間という存在が、常に豊かで穏やかな道を進めるとは限りません。なぜなら、この世界の本質が「闘争」や「試練」に根ざしているからです。そして、不幸は多くの場合、何の前触れもなく突然訪れます。
二つの覚悟
私は、人生を歩む上で以下のような考え方が大切だと感じています。
明日死ぬ覚悟ができている人は、
100年生き続ける苦悩を想定しておくこと。
長く生きたいと願う人は、
明日死ぬかもしれないということを覚悟しておくこと。
この両面の覚悟を持つことで、人生において無謀な選択や刹那的な判断を避けられるようになります。
「今さえ良ければ」と目先の欲に流されてしまえば、もしその後長く生きたときに、その選択の代償を支払うことになるかもしれません。
反対に、「明日死ぬかもしれない」と思えば、人生で無駄な遠回りを避けて、本当に大切なことにすぐ着手しようという姿勢が生まれます。
準備をして歩むこと
このように、常に「最悪」を想定しておくことは、道を歩む前にしっかり準備を整えることと似ています。
人生は長いようで短く、短いようで長いもの。そして、最悪の終わり方をする可能性も、常に頭の片隅に置いておく必要があるのです。
幸せを当たり前にしない
そして、何より大切なのは――
幸せを当たり前だと思わないこと。
人生には、誰にでも不幸が訪れます。だからこそ、不幸こそが普通であるという前提で生きていれば、実際に不幸に見舞われたとしても、心が大きく乱れることは少なくなります。
この世界においては、不幸になることはむしろ自然な流れです。だからこそ、短い時間の幸せや、ちょっとした喜びに、大きな価値が宿るのです。
あなたが今、幸せを感じているとしたら――
それは決して「当然」ではありません。非常に特別な瞬間なのです。
手放すときに備えて
そう考えることができれば、その幸せを手放す瞬間が訪れても、「もう十分に味わった」と、自然に受け入れることができるでしょう。
いつまでも幸せでいられることは、普通ではない。それを理解していれば、無理に執着する必要もなくなります。
厳しいようですが、これが地球という舞台の本質の一面なのです。