統合失調症体験記。薬の役割と個人差。

今回は統合失調症の当該者として、医療専門家ではなく、「一患者」として薬についてお話しする。また、この記事は「医療関係者」が書いたものではないこと重々承知の上、参考にする際、必ず患者は医師に直接相談してほしい。現状、医師以外の専門家は存在しないからである。

今回は、統合失調症の薬についてと、個人的な体験談を紹介する。
また、今回の記事は非常に長いので興味がない方は見ないことをおススメする。

1.再発防止、症状悪化の防止

これは統合失調症患者なら、必ず口を酸っぱく医師から言われているだろう薬の効能である。統合失調症は現在の医療技術では完治しない。治るのではなく寛解(かんかい)と言う。一度、統合失調症になってしまった人は、非常に再発のリスクが高まるのである。この再発防止、また現在の状態から寛解に導く働き、これが薬の役割である。これを知らずして統合失調症は良くならないのだが、意外と疎かにしてしまうケースがある。

例えば、私もその典型的な一例であった。これだけ社会に出て働けるのだから、もう大丈夫だろう。「先生、薬少し減らしませんか?」この一言が、私の人生を狂わせた元凶の一つであった。薬には効果もあるが副作用もある。副作用は薬や体質によって様々だが、私の場合「ジプレキサ」を当時飲んでおり、これが太る原因の一因となった。
※当記事ではあえて分かりやすく一般販売名で薬剤名を統一する

当時、私は正直、統合失調症という病気の再発を舐めていた。というより知らなかったのだ。従って、私が当時の担当医に繰り返し強く提案する毎に、最初は困惑していた様子だったが、ついに「そこまで言うなら・・・」といった態度になったのだった。おそらく、当時の担当医も私自身も病状を十分に理解していなかったと思われる。今、私はそのことを恨んではいないが、もし私が専門医であったら、減薬は難しいが他の代替手段を考えたかもしれない。

当時私が飲んでいたジプレキサは5mg。統合失調症の最低容量である。これ以上減らすと、もう本来の再発防止量を下回ってしまうギリギリのラインだったのだ。これは病気初発の入院当初、私を見た名医がギリギリまで減らせるよう努力した賜物だったのだ。私はその禁(私には直接言われた覚えはなく、親が言われたようだ)を破り薬剤を減らした。その結果が最悪の再発という結果で現れた。このように安定している状態で医師が処方した薬剤をいたずらに変えるのは危険である。特に医師が難色は示した場合はかなり危険度が高い。

もし現在の薬剤により何らかの悪影響が出ている場合、素直に医師と相談するか、その内容が気に食わない場合、セカンドオピニオンをするなど基本的な対策を取った方が良い。

2.脳内物質のコントロール

薬の役割として大きな働きを持つのが脳内物質のコントロールである。特に統合失調症の中で大きな影響を与える、とされているのがドーパミン関連、次いでセロトニン関連だ。特にドーパミンの影響は統合失調症と深く結びついており、ここが完全解決すれば完治もあり得るのだが、現代医療では、このドーパミン等を薬によってコントロールするのが限界である。

まず、統合失調症では一般的に様々な症状が現れるとされている。それもそのはず、旧来の定義がかなり曖昧で原因も正確に分かっていないためと思われる。その中でも、共通して現れやすいのが、「陽性症状」と「陰性症状」である。

陽性症状は主に脳内物質が放出され過ぎて、脳内がパニック状態になるという状態だ。具体的には、幻覚(主に幻聴等)、妄想、監視または誰かに支配されているといった自我障害、思考に一貫性が保てなくなる思考障害、様々な異常な行動を行う行動異常などが挙げられる。自他ともに特に一番統合失調症にとって危険な時期はこのタイミングである。統合失調症罹患者が他者に何らかの危害を加えたり、突発的自害行為を行う可能性があるからである。

陰性症状は逆に陽性症状が落ち着いた来た頃に出やすい症状で、脳内の働きが鈍る状態である。感情の平板化、意欲の減退、集中力・持続力の低下、コミュニケーションの低下、ひきこもるなどが挙げられ。エネルギーが一気に低下している状態だ。ここで注意したいのは患者は怠け者なのではなく、当然の病状なのだ。

これら陽性、陰性症状を改善するためにも薬は役割を果たす。具体的な薬剤名は全て書けないが、陽性症状が活発な患者にはドーパミンを抑える薬。逆に陰性症状が強い患者にはドーパミンを調整し、部分的に活性化する薬がある。

まず、医師が第一に危惧するのは当然、陽性症状である。従ってこれらの原因であるドーパミンを抑える薬をメインで処方されることが多い。そして症状が時間とともに落ち着くにつれ、減薬したり、陰性症状対応へ薬を移行することが多い。100%言えることは症状の改善には時間がかかることである。そのため焦りは禁物である。

また、ここからが本題なのだが、薬には体質によって様々な個人差による影響がある。Aさんには非常によく効果があり、副作用がほとんど出ない薬でも、Bさんにはほとんど効果がなく、それどころか副作用ばかり目立つという場合もある。ほとんどの医師はこれをわきまえているため、細心の注意は払うが、自分に適した薬剤、また、自分の現在の状態に最も良い薬というのは変わってくる。

3.個人的な体験談

ここからは私個人の体験談をお話する。あくまで私のケースである
私の場合、初発から名医が薬の采配をし、最終的にジプレキサ5㎎まで減らした。しかし、私は不満を持っていた。体重が減らないということである。そこで、私はあろうことか薬の減薬を半ば強引に医師を説得させ再発した。

その後、私は別のクリニック通っていたため、様々な薬を大量に投与されることになる。当然ジプレキサも最大投与20mgである。その他補助剤も含めると何種類か覚えていない。それでも陽性症状に悩まされ、幻聴、極度の不安に悩まされた。そこで医師が「ロナセン」という薬を提示し、主剤をジプレキサからロナセンへ変更した。その結果は一旦上手くいき、幻聴等の類は一気に減ることとなる。

しかし、ここでまた悩まされることになる。今度は陰性症状である、極度の絶望感、悲壮感が強くなり、耐えられなくなる。ここで一旦、ロナセンをやや減薬+ジプレキサ5㎎という絶妙の配分で症状が落ち着く。この処方で4年が過ぎた。

だが、まだ問題点があった。それは時折訪れる不安や絶望感、および体重増加、過食の問題である。ここで私は独自に統合失調症の薬剤の情報を集め、それを比較検討し、「エビリファイ」という薬に辿りつく、これを直接医師に相談したところ、現在の状況であれば、切り替えも可能である。という快い診断をいただいたので、是非ということで、ジプレキサを止め、ロナセン+エビリファイという組み合わせで再調整をかけることになる。

しかしこれが再発防止効果を薄め、再発時の不安のようなものを覚える。そこで一旦ジプレキサ+ロナセン戻し、今度はジプレキサ5mg+エビリファイ12mgという冒険に出ることにした。ここでようやく安定した状態となる。時間にして再発から約7年半である。

この薬の変遷は私の一例であり、第三者がそのまま真似しても危険である。医師とよく相談することが大切である。これは体験談であり、決して特定の薬剤変更を推奨するものではない。また途中全ての経緯を説明できないので省略した部分もあり、いくつかの補助剤や主剤の変更も行ったが、特に主剤の変更は重大な副作用が出ることもあった。

ここまでの時間と、薬剤の度重なる調整を繰り返して、ようやく私は多少はまともになった。もちろん医師との綿密な相談も必要であるため、通院は度々であった。統合失調症は最適解が人によって異なるため、自分にとっての最善の治療の道は長いのである。

これは医師がヘボなのではない、統合失調症とはそれだけ複雑な要素が絡み合っていて、それを社会生活が送れる状態、ましてや短時間労働でもできる状態に戻すのは、本当に大変な道のりなのである。

まとめ

今回は大分長くなったが総括に入ろうと思う。
統合失調症では、薬の役割として再発防止や症状悪化の防止がある。そして、また脳内物質の放出の均衡を保つ作用がある。また薬の効果、副作用、は体質によって大きく個人差があるため、医師でもその見極めに時間がかかる場合が多い。現在の症状によっても処方される薬が変わっていくこともあるが、これは医師の判断を優先するべきである。医師との相談は綿密に行い、その際もきちんと自分の意見を言えるよう、準備をしておくべきである(自分だけで出来ない場合、家族や福祉関連のサポーターと連携が必要)

しつこいが、この記事は「医療関係者」のものではない。参考にする際、特に薬については必ず医師と相談をお願いする。また、現在は昔と違い様々な薬があるため、医師との相談を綿密に行えるよう、きちんとした医療関係者の資料読み込みが重要である。

ここまで長かったが最後まで読んでいただき感謝する。もし同じ統合失調症で悩んでいる人、または統合失調症の患者を身近に知っている人がいたら参考になれば幸いである。

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