相手に与えた上で勝つ
世の中の勝負には、常に駆け引きがあります。
その中でも重要な考え方の一つに、「勝ちすぎない」というものがあります。
必要条件のみ満たした勝利の利益は、それほど大きくないかもしれません。
一方で、必要条件を大きく超える勝利の利益は確かに大きくなります。
しかし、多くの場合、そのような勝利には強いリスクが伴うのです。
もちろん一概にどちらが良い悪いとは言えません。
ケース・バイ・ケースでしょう。
ですが、私は必要条件を大きく超える勝利を常に目指すのは、
一般的にはあまり賢明とは言えないと考えています。
囲碁に見る理想の勝ち方
囲碁には、こんな考え方があります。
「相手に与えても勝てるのであれば、それが理想である」
つまり、相手にある程度の利益を与えたとしても、
それを上回る利益を自分が確保できるのであれば、
その方がリスクも少なく、理想的な勝ち方だというのです。
奪い尽くす戦いのリスク
逆に言えば、相手の利益を根こそぎ奪おうとすれば、
当然、相手は必死になって抵抗してくるでしょう。
相手が自分より明らかに劣っていれば、なんとか捌けるかもしれません。
しかし、自分と同等以上の実力を持っている相手であれば、
そのとき初めて、非常に厄介な強敵へと変貌してしまいます。
それを押さえつけようとすれば、莫大な労力が必要となります。
楽に勝つという発想
ですから、相手に与えても自分が困らない利益は譲ること。
そのうえで、自分にとって重要な利益をしっかり確保する。
相手の反発を招かず、こちらの勝利が動かないのであれば、
これほど楽に勝てる戦略はないでしょう。
強さとは何か
「勝てるなら徹底的に勝つべきだ」と考える方もおられるかもしれません。
ですが、上記の理由から、私はそれが得策だとは思いません。
そもそも戦いとは、本来血みどろの争いになるものではありません。
それはあまり格調の高いものとは言えないのです。
本当に強い人間とは、争いが始まる前に、物事を順序良く進めて勝ってしまう。
そのため、凡人の目からは、その強さが見えづらいのです。
逆に言えば、凡人に「強者」と認識されているようでは、
まだ超一流とは言えないのかもしれません。
一見よく分からないが、気づけば必ず勝っている。
そういう勝ち方ができる人間こそ、戦いの達人です。
なぜなら彼らは、凡人には理解できない領域で戦っているのです。
まとめ:与えることで楽に勝つ
話が少し逸れましたが、
勝負をするなら、できる限り楽に勝つ。
そしてそのためには、勝ちすぎを目指さない。
相手に与えて、なお自分が勝つ。
この発想こそが、大きな安定と成果を生むと、私は思っています。