自己中心的という言葉の再解釈
「自己中心的」という言葉は、わがままや利己的といった否定的な意味合いで使われることが多いと思います。しかし、私はこの言葉を一括りにして捉えるのではなく、「浅い自己中心主義」と「深い自己中心主義」に分けて考えるべきだと感じています。
浅い自己中心主義と深い自己中心主義
浅い自己中心主義とは、自分だけの利益や快楽を最優先し、他人の存在や影響を無視する姿勢です。一方、深い自己中心主義とは、他人を自分の延長線上にある存在と理解し、「自他一体」であるという前提に立った自己中心性です。
深い自己中心性は他者への奉仕に至る
一見矛盾しているように思えるかもしれませんが、自己中心主義を突き詰めていくと、最終的には他人のために動く人間になります。なぜなら、我々人間は本質的にはつながり合っており、他人に尽くすことが、巡り巡って自分に返ってくることを深いレベルで知っているからです。
自己の延長としての他者
たとえば、道で子どもが車に轢かれそうになっているのを見て、咄嗟に身を投げ出して助ける大人がいます。これは、「他人を助ける」行動であると同時に、自分の一部を守ろうとする自然な反応でもあります。ちょうど、体を守るために手が無意識に動くようなものです。
深層心理が知る「自他一体」
このような行動は、理屈ではなく、深層心理において「自分と他人は切り離せない存在」だと知っているからこそ起きるのです。
この観点から見ると、「他人のために何かをする」行為は、最終的には自分のためであるとも言えます。「献身」や「奉仕」といった行為も、目には見えなくても、その背後には自分が何かしらの価値や充実感、安心感を得ていることが多いのです。
「自分のために人に尽くしている」
ですから、他人のために動いているという人も、正直にこう言った方が良いのかもしれません。「私は、自分のために人に尽くしています」と。
それは打算的ということではありません。むしろ、自他一体という理解に基づいた深い利他的行動であり、真に人間らしい在り方だと私は考えています。