嘘と真実の関係性、真実とは見えざる貯金、嘘とは貯金を切り崩すこと

99の真実と1の嘘

1つの嘘を誰かに信じさせたいと思うならば、 その前提として99の真実、あるいは誠実な態度を相手に示さねばなりません。 つまり、嘘というものは単独では信じてもらえず、 その嘘を本当に見せかけるには、それ以外の部分を限りなく真実で固めておく必要があるということです。

この構造は、詐欺やプロパガンダ、洗脳的な手法にも共通しています。 一部の虚偽を本物のように見せかけるためには、 あらかじめ相手の信頼を得るための土台が必要なのです。

嘘も方便の難しさ

「嘘も方便」という言葉があるように、 人生においては時に嘘をつかねばならない状況が訪れます。例えば、誰かを守るために事実を伏せたり、相手を傷つけないように配慮して言葉を選んだりする場面などがそれです。

しかし、この“方便”としての嘘も、普段から嘘ばかりついている人間が言えば、信用されるどころか、余計に疑われてしまいます。本当に必要な場面で相手を納得させたい、守りたいと思ったとしても、日頃の行いが誠実でなければ、その想いすら届かないのです。

信頼という見えない貯金

日常的に正直な態度を貫いている人は、無意識のうちに周囲から「この人は信じられる人だ」という信頼を得ています。それは、あたかも見えない貯金のようなもので、いざという時、その信頼残高が高ければ、1回の嘘や誤魔化しが「きっと何か理由があるのだろう」と受け止められるのです。

ですから、本当に大切な場面で嘘を“使える”ようにしておくためにも、普段は正直に、誠実に生きている方がむしろ賢明だと言えるでしょう。嘘をつかないことが、自分を守る一番の防衛線になるというわけです。

真実を装った嘘の見抜き方

そして、逆にこの仕組みを理解した上で悪用しようとする人間にも注意が必要です。例えば、極めて巧妙な詐欺や陰謀論、あるいは宗教的な扇動などの情報の中には、99%が確かに真実、もしくは誰もが頷くような正論で構成されていることがあります。

ですが、その最後の1%、ほんの一滴の嘘こそが真の目的であり、そのために99%の真実が仕込まれているというケースは決して珍しくありません。

「こんなにたくさん良いことが書いてあるのだから、これも正しいに違いない」と、無意識に思ってしまう心理の隙を突いてくるのです。

出来すぎた話には注意を

だからこそ、真実らしく見えるものほど、鵜呑みにしない慎重さが求められます。内容が素晴らしいほど、情報源が立派なほど、その奥に潜む1つの意図や、嘘の可能性を見逃さない目を養うことが大切なのです。

これは人との関係だけではなく、書籍、動画、SNS、あらゆる情報に言えることです。どれほど共感できる言葉が並んでいても、最後のたった一行にこそ、最も重要なメッセージが込められている可能性もあるのです。

正直さは自他を守る力

嘘とは、時に便利で、時に必要で、時に恐ろしいものです。しかし、どんな嘘にもそれを支える土台があるということ、そしてそれは“日頃の誠実さ”に他ならないということを忘れてはなりません。

自分が嘘をつくときも、誰かの嘘に気づくときも、その裏にある「99の真実と1の嘘」という構造を見抜く目を持つことで、私たちはより深く、賢く、そして誠実に生きることができるでしょう。

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