比較と嫉妬の逆説
ある村に住むおばあさんは、こう言います。「やっぱりこの村が世界一幸せな場所だよ」と。
このおばあさんは一度も村の外に出たことがありません。ですが、他と比べることなく、迷いもなく、「ここが一番だ」と信じて疑いません。
なぜなら――比較対象を作らないからです。
情報過多の時代に生きるということ
現代人は、多くの物事と自分を比較します。SNS、ネット、メディアを通じて無限の情報に触れ、「他人が何を持っていて、自分が何を持っていないか」を日々意識させられます。
比較が多ければ多いほど、欠乏感もまた増していきます。
そして人は焦ります。
「もっと自分を高めないと」
「もっと得な生き方をしないと」
そんな焦燥に心をすり減らしていきます。
利点と欠点は常にセットである
では、最初のおばあさんと、現代の情報社会を生きる私たち。果たして、どちらが本当に「幸せ」なのでしょうか?
おばあさんは多くを知りません。しかし、その分、比較もせず、嫉妬も焦りもありません。日々を純粋な気持ちで穏やかに生きています。
一方で、現代人は知識も情報も豊かです。得をすることもあるでしょう。ですがその裏では、妬み・焦り・不安が心を蝕んでいます。
答えは一つではない
どちらが正しいのでしょうか?
そう――正解など存在しないのです。
なぜなら、どちらにも利点と欠点があるからです。
比較しないことで守られるものがあり、
比較することで得られるものもあります。
繋がりを広げれば広げるほど、
見るものを増やせば増やすほど、
比較する機会も増えていきます。
それはメリットと同時にデメリットも増大します。
ですから必ずしも正解とは言えない、
と私は考えます。
だからこそ、何と繋がるか、何を見るかを、自分で選ぶこと。それが、心のバランスを保つ鍵なのかもしれません。
あなたの正解は、
あなた自身が選択するものなのです。
比較と上手に付き合うためのヒント
とはいえ、比較を完全に避けることはできません。
では、現代を生きる私たちはどう「比較対象」を選んでいけばよいのでしょうか?以下に、心の健康を守るためのいくつかのヒントを挙げてみます。
他人との生活の質を直接比較しない
人はそれぞれ異なる人生を歩んでいます。
生活の見た目だけで優劣を測れば、
どうしても嫉妬や慢心が生まれてしまいます。
自分の趣味・好きなことを軸に情報を広げる
好きなことを深めるための比較は、
自己肯定感や成長に繋がります。
無理に他人の幸福を追いかけるよりも、
自分にとって意味のある情報を選ぶこと
これが大切です。
情報には発信者の意図があると理解する
SNSやメディアは、必ず
「見せたい側の意図」が含まれます。
そのため、気になった情報は、
必ず複数の角度から検討することが重要です。