私たちは日々、「持つこと（有）」と「持たないこと（無）」の間で揺れ動きながら生きています。
どちらも一方的に良いものではなく、それぞれに利益と害悪があります。
有と無は表裏一体
有には、便利さや安心、豊かさといった恩恵があります。
しかし同時に、維持や管理の負担、周囲からの嫉妬や狙われる危険、束縛も伴います。
無には、身軽さや自由、執着の少なさという利点があります。
ですが、不足による不便や機会の損失、不安定さという側面もあります。
この二つは陰と陽のように、互いが存在することで全体のバランスが保たれているのです。
バランスの重要性
有が多すぎれば重くなり、無が多すぎれば脆くなります。
どちらかに偏ることは、生活の安定や心の平穏を損なう原因になります。
持つことと持たないこと、その両方の側面を理解し、必要に応じて調整すること。
これこそが、人生を長く健やかに保つための核心です。
日常における例
家財や道具
必要以上の物を所有すると、置き場所や管理の手間が増えます。
一方、物を持たなすぎると必要な時に不便さを感じます。
人間関係
知人や友人が多ければ情報や助けが得られやすくなりますが、その分しがらみや義務も増えます。
少なければ自由度は高いですが、孤立や情報不足のリスクがあります。
お金
資産を持てば安心や投資機会が増えますが、税や管理コスト、盗難・詐欺のリスクも高まります。
資産が少なければ維持の負担は減りますが、突発的な出費に弱くなります。
不要な獲得を避ける
何かを得る時には「それは本当に必要か」を自分に問うべきです。
所有することの利益だけでなく、その維持や管理にかかる負担、さらには潜在的な害悪まで考慮することが重要です。
不要な物や関係を無理に獲得しようとすることは、やがて破滅の種となる場合があります。
結び
「有」と「無」は敵対する概念ではなく、陰陽のように互いを補完する関係にあります。
何を持ち、何を持たないか――その選択の質が人生の質を決めます。
有と無の間で自分なりの調和点を見つけ、バランスを保つことこそ、道に沿った生き方なのです。