天秤のような公正さ
組織を束ねる立場にある者には、賞罰に関する明確な実権が必要です。そしてその権限は、天秤のように常に公正でなければなりません。
たとえ地位が高い者であっても、ルールを破れば処罰を下さねばなりませんし、逆に地位の低い者であっても、功績を上げれば正当に報いを与えるべきです。
例外を許せば、組織は崩れる
地位が高い者にだけ甘くしてしまえば、組織の威厳そのものが損なわれます。この損失は、個人の失墜よりもはるかに大きな影響を及ぼします。
いったん例外を許してしまえば、「どこで線引きするのか」が曖昧になり、やがては気まぐれと私情で回る組織へと変質してしまうでしょう。
「泣いて馬謖を斬る」という故事にもあるように、たとえ有能な人物であっても、公正を貫くためには処罰が必要な場面もあります。
そうでなければ、長として組織をまとめ上げることはできないのです。
功績ある者に光を当てよ
逆に、地位が低い者であっても功績を正当に評価しなければ、士気が下がるのは当然です。
「どれだけ努力しても報われない」と悟られてしまえば、人は努力をやめ、腐ってしまいます。
成果を上げた者には、例外なく報いる。それこそが、やる気を引き出す唯一の道です。
そしてやる気のない人間が大多数を占めるようになった組織には、輝かしい未来など決して訪れないのです。
賞罰を公正に行うために必要なこと
賞罰は常に、公平でなければなりません。それができてこそ、初めて「長」としての役割を果たすことができます。
しかし、人間はともすると情に流され、欲に曇り、判断を誤りやすいものです。だからこそ、明智と徳が不可欠なのです。
情に流されず、公正を貫く勇気。
欲に惑わされず、真実を見抜く力。
これらを備えてこそ、初めて組織を束ねる者として信頼に値するのだと、私は思います。