一つ増やして始めることより、一つ減らして整理すること

一つ減らすこと

古き名宰相が語った政治の要諦に、「有益なことを一つ始めるより、有害なことを一つ減らす方が徳になる」という言葉があります。

なるほど、確かにそうかもしれません。現代の私たちにも十分通じる、深い示唆を含んだ言葉です。

たとえば、経済的な観点から見てみると、その意味はとても分かりやすいでしょう。いくら収入源が増えたとしても、浪費癖が治らなければお金は貯まりません。収入を倍にしても、それ以上に支出が増えてしまえば意味がないのです。

ですから、すでにある程度の収入があるなら、「どう稼ぐか」よりも、「どう使わないか」のほうが重要になってくる。つまり、収入源を増やす努力より、無駄な支出を減らす努力のほうが徳につながるのです。

不要を排除するという発想

この考え方は、経済に限った話ではありません。身体の健康についても同じように当てはまります。

栄養のある食材や健康食品を積極的に摂るよりも、まずは体にとって有害なものを減らすこと――例えば、過剰な砂糖、添加物、過食、運動不足など――そういった要素をひとつずつ取り除く方が、長期的には身体全体に良い影響を与えます。

「新しい何かを加える」ことよりも、「不要なものを引く」ことの方が結果的に純度を高める。これはシステムとして働く身体にも、納得のいく法則です。

思考にも当てはまる法則

では、それをさらに「思考」という内面の領域に当てはめるとどうでしょうか。

私たちは、知識や教訓、格言や自己啓発を通じて、「良い考え方を取り入れる」ことにしばしば熱心になります。もちろんそれ自体は有益なことです。しかし同時に、有害な思考パターンを一つ減らすことの重要性も、それと同じか、時にはそれ以上に大切だと思うのです。

たとえば、見栄を張るためのプライド、過剰な比較、バランスを欠いた一方的な見方、――そういった足を引っ張る考え方を一つでも手放すことができれば、たとえ新しい考え方を何一つ取り入れていなくても、人生にとっては確かな前進になります。

思考が現実を作る

私たちの思考は、日々の行動や選択に大きな影響を与えます。そしてその積み重ねが、いずれ「人生」という形になります。だからこそ、人生を変えたいのなら、まず思考を見直すことが必要なのです。

一つ良い考えを加えるよりも、
一つ悪い考えを減らすことに努める――。
その地味だけれど確かな作業の積み重ねが、
人生の質を着実に高めてくれるのだと、
私は考えています。

生き方においても、体においても、思考においても、本当に大切なのは「足し算」ではなく、「引き算」の智慧かもしれません。

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