人の本性は簡単に見抜けない
人の本性というものはそう簡単に分かりません。多くの人間というのは、自分の本性を隠す仮面を持っていて、そう簡単にそれを取らせることはできないのです。ですが、一つ確実に相手の本性を暴く方法があります。それは相手に危機感を感じさせることです。
ピンチで現れる本当の姿
ピンチになって初めて人の本性は暴かれるのです。
人間は余裕がある時は、いくらでも自分をコントロールできます。余裕があれば、いくらでも自分を取り繕うことに気が回るからです。しかし、追い詰められるとそう簡単には自分を抑えられません。
利害が引き出す本性
ピンチというのは、どういうことに関するものかと説明すると、一番大きな要素は自分の利害に関係することと言えます。お金や責任に関することは一番分かりやすいでしょう。
例えば、お金の話であれば、どんな状況でも自分だけは絶対に損をしないよう、人が変わったようにガメツクなる。責任であれば自分の失敗を他人になすりつけようとする。このように利害に関することとなると、人は本性が現れやすくなります。特にその利得や損害が大きいほど人は本性を晒します。
本性を示す行動
強欲、無責任、暴力的、卑怯、臆病、騙し、依存的——こういったことが、その人間のピンチに顔を表すようであれば、実はそれがその人間の本性だと言うことが分かってしまうのです。
逆に、勇敢、前向き、建設的、協調的、責任感がある、自立的——こういったことがその人間のピンチに現れるのであれば、その人間は信頼できると言えます。
言葉でいくら取り繕おうとしても行為は誤魔化せません。人間の本性は言葉では分からないのです。なぜなら、思っていなくても美辞麗句を出すことはできるからです。ですから、その人間がピンチの時にどうしたか、それさえ見ていればその人間の本質が全て分かります。
古人の見抜き方
古人の政治には、これとは逆のベクトルですが人の本質を見分ける術がありました。
その人間が本当に使える人間かを調べるために、わざと官位(地位)を与えて様子を見るというものです。官位を与えて国民のために働くのであれば、有益な人物であることが分かり、逆にその権威を利用して威張りちらすようになったり、利益を貪るようなことをすれば、有害な人物ということが分かってしまうのです。
利害が人を試す
ピンチは本性をあらわにさせますが、権威というのも人の本性を引き出します。この二つの共通点は、自分の利害に大きく関係するということです。利害に対してその人間がどう行動したかを見れば、その人間がどういう人物なのか、ということがすぐに分かってしまうのです。