モビルファイト軽量化の試行と、安定性重視の結論
当開発中のブラウザゲーム「モビルファイト」では、負荷の集中する時間帯にサーバーのレスポンス低下が見られるため、処理軽量化の手段を検討しました。さまざまな技術アプローチを比較検討した結果、「基本的な構成が最も堅実である」という結論に至りました。
高負荷時の課題と高速化の選択肢
「モビルファイト」は多人数参加型のCGIゲームで、夜間のイベント時間帯にはアクセスが集中し、CPUへの負荷が高まります。従来のPerl CGIではリクエストごとにプロセスを起動するため、この問題をどう解決するかが焦点でした。
高速化の手段として、Perlプロセスを常駐化するSpeedyCGIやFastCGIなどが検討対象になりました。とりわけSpeedyCGIは、Apacheのmpm_eventと組み合わせて利用できる可能性があり、非常駐ながら高速化が見込める中間的な選択肢として興味深いものでした。
SpeedyCGIの検証と見えてきたリスク
今まではSpeedyCGI導入し、一部のCGIスクリプトにて実行していました。しかし、安定性に課題が残ることが分かってきました。Perlの複雑なモジュール構成とSpeedyCGIのキャッシュ機構は相性が悪く、様々なリスクが排除しきれませんでした。また、mpm_eventとの共存にも技術的な問題点が多く、構成のシンプルさが損なわれてしまいます。
最終的には、SpeedyCGIを利用せず、CGIの基本形であるApache + mpm_event + 素のPerl CGIという構成が最も安定するという結論に達しました。速度面ではやや譲歩となるかもしれませんが、「安定性」を最優先とするならば、この判断は間違っていなかったと思います。
AIとの対話から導き出した結論
この過程ではAIを活用し、多角的な技術的検討を行いました。AIの助言は非常に有用でしたが、一方で、AIの初期判断が不完全であったり、想定外の設定を見落としていたこともありました。そのたびにこちら側から追加情報を提示し、リスク要因を突きつけることで、AIが前提を再評価し、結論を修正するという展開が何度もありました。
AIの回答はあくまでベースラインです。信頼しすぎず、問い返す力が必要です。複数のAIに同じ問題を投げて、食い違いから新たな発見を得るというプロセスも有効でした。
現在のAIとユーザーの関係性
AIにすべてを任せるのではなく、ユーザーが「どう聞き出すか」「どう比較するか」が問われます。技術的に正しいだけでなく、安定性やメンテナンス性、最悪のケースに対する備えなど、現実的な視点で問いを重ねることで、AIの提案の質も高まります。
SpeedyCGIのような技術も、AIの提案によって再評価のきっかけになりました。しかし、結局のところ「安定して動き続けるかどうか」が最優先であり、派手な最適化よりも、地味な信頼性の方が価値あることが多いという現実に立ち戻る結果となりました。
まとめ:技術選定において「変えない勇気」も必要
今回の取り組みは、一見「高速化に失敗した」と見えるかもしれません。しかし実際には、より確実な構成に立ち戻ることで、システム全体の安定性を高めるという成果が得られました。むしろ無理な高速化を避けられたことが成功とも言えます。
AIの助言を取り入れつつ、自分自身の目と判断力を信じること。それこそが現代の開発者に求められるスキルであり、AI時代の「対話力」なのだと実感しました。