AI校正を試みた際の実録
私は、日本語の書物を個人的に英訳した原稿をAIで校正する試みを行いました。
その過程でいくつかの問題に直面しましたが、一つ一つ解決策を見出すことで実用的な運用方法にたどり着きました。
以下に、問題と解決策を具体的にまとめます。
問題点1:Wordファイル返却が不可能
まずAIにWord形式(.doc/.docx)の形でファイルを読み込んでもらうことは可能でした。
しかし、AIにWord形式のまま校正結果を返してもらおうとしましたが、
AI側の出力と環境依存の不具合で正しく生成されませんでした。
ダウンロードの段階からPCでは正常にファイルが落とせなかったり、
Wordで開いた際にレイアウトが崩れたり、データ自体が壊れる現象が発生しました。
解決策1:
返却形式をすべて.txtファイル(テキストファイル)に統一しました。
これにより、環境差を気にせず安定して校正内容を受け取ることが可能になりました。
Wordへの再取り込みはコピー&ペーストで対応すれば十分でした。
問題点2:コメントの整合性が崩れる
本文中にAIが校正したことを示す《Note【連番】》というマークと、
校正理由を示した末尾の[Note 【連番】]というマークが一部欠損するケースが発生しました。
これではどの箇所にどの指摘が対応するのか分かりにくくなります。
解決策2:
AIに依頼するプロンプトに《Note 1》《Note 2》…を明示的に挿入し、
末尾のアドバイス一覧でも必ず同じ番号で対応づけてください。と依頼しました。
この「番号一致ルール」を徹底することで、
校正者(AI)と確認者の双方が混乱せずに扱えるようになりました。
問題点3:一度に処理する分量が多すぎる
翻訳原稿が40~50ページ規模になると、AIに一気に処理させるのは現実的ではありませんでした。
生成に時間がかかることもありますが、コメントが過剰に固まり、確認者の負担が大きくなります。
確認者の負担が大きくなります。
解決策3:
単純に原稿を数ページ単位で分割し、区切って校正を依頼しました。
これによりAIの処理も安定し、確認者も1日の作業として無理なく対応できるようになりました。
問題点4:作業ペースが噛み合わない可能性
AIの処理速度は非常に速い一方で、人間側の確認・適用作業には時間がかかります。
結果的に「AIの校正速度」と「人間の適用速度」にギャップが生じました。
解決策4:
作業時間を日ごとに区切り、AIには小分けで校正依頼を行い、人間側は自分のペースで反映作業を進めました。
これによりAIの速度に振り回されることなく、持続的に校正を進められる流れが確立できました。
まとめ
今回の試みは、GPT-5(AI)の限界と特徴を知ったうえで工夫することが大切だと示してくれました。
Wordファイルでのやり取りに固執せず、テキストファイルでのやり取り、
番号整合の工夫、分割依頼を取り入れることで、
「AIと人間が無理なく協働できる翻訳校正プロセス」を実現できました。